米国のジョー・バイデン大統領は、退任を前に驚くべき決定を下し、次男ハンター・バイデン氏を恩赦すると発表しました。この発表は米国政界に大きな衝撃を与えました。ここでは、米国の二大政党関係者の反応をご紹介します。
12月1日、バイデン大統領は次男ハンター・バイデン氏を恩赦することを発表し、ハンター氏に対する告発は政治的な動機によるものだと主張しました。
バイデン大統領は声明で「理性的な人であれば誰でも、ハンターの案件の事実を見れば、彼が私の息子であるという理由だけで特別に標的にされていることが分かるでしょう。これは間違っています」と述べました。
バイデン大統領によるハンター氏への赦免は「全面的かつ無条件」のものであり、次期大統領に選出されたトランプ氏が就任後も、この赦免を撤回することはできません。
赦免の対象には、ハンター氏に対する銃器および税務犯罪なども含まれています。
同日、バイデン氏のこの決定に対して米国の両党は強い反応を示しました。
次期大統領に選出されたトランプ氏は、自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「ジョーがハンターを赦免したことには、現在も収監されている『1月6日の議会事件』の人質も含まれるのか? これこそ司法の乱用と不公正の極みだ!」と述べました。
下院監視委員会もXアカウントで「トランプ大統領への法的攻撃から、今度はハンター・バイデンの恩赦に至るまで、バイデンは前例のない権力乱用を行い、米国大統領の名誉を汚した」と投稿しました。
一方、元司法長官のエリック・ホルダー(Eric Holder)氏は、検察官はハンター氏を起訴すべきではなく、恩赦は妥当だとの見解を示しました。
ホルダー氏はXで「もし彼の名前がジョー・スミスだったならば、判決は基本的であり、より公正に却下されていたでしょう」と投稿しました。
バイデン氏のこの行動は、これまでの公約を覆すものとなりました。今年6月、ハンター氏がデラウェア州での銃器事件の裁判に直面していた際、バイデン氏は記者に対し「ハンターを恩赦することはない」と明言していました。
バイデン氏
「陪審団の判断を尊重すると言いました。その通りにするつもりです。彼を恩赦することはありません」
バイデン氏は12月2日、初の南アフリカ訪問を開始しました。アンゴラへ向かう途中、カーボベルデで短時間の滞在中、息子ハンター氏の恩赦に関する質問を受けましたが、それに対して回答することはありませんでした。
しかし、ホワイトハウス報道官のカリーヌ・ジャン=ピエール(Karine Jean-Pierre)氏は、恩赦の決定はバイデン大統領がアフリカに向かう専用機「エアフォースワン」内で、先週末に行なったものだと述べました。
ホワイトハウス報道官カリーヌ・ジャン=ピエール氏
「彼(バイデン氏)はこの問題に苦悩したと言っています。彼は司法制度を信じている一方で、政治的な争いがこのプロセスに影響を及ぼし、不公正な司法判断を招いたと考えています」
合衆国憲法には、大統領が恩赦を行う権利が明記されており、恩赦や減刑を含みます。また、米国の歴史では、大統領が家族に恩赦を与えた前例もあります。2001年、ビル・クリントン大統領は、異母兄弟のロジャー・クリントン氏を恩赦しました。