現地時間1月7日早朝、チベット自治区のシガツェ市ティンリ県でマグニチュード6.8の地震が発生しました。この地震により、多くの家屋が倒壊・損壊し、少なくとも数百人が死傷しましたが、実際の状況は明らかになっていません。この地域は標高が高く、気温が低いため、被災者数は6万人を超え、テントや防寒用品が緊急に必要とされています。一部の民間支援者が自主的に物資を被災地に送ろうとしましたが、妨害を受けています。また、支援活動をライブ配信しているインフルエンサーもたびたびブロックされています。
現地時間1月7日午前9時頃、チベット自治区シガツェ市ティンリ県で強い地震が発生しました。当局の発表によると地震の規模はマグニチュード6.8とされていますが、米国地質調査所は、この地震の規模をマグニチュード7.1と評価し、震源の深さは10キロメートルであると報告しています。
地震後の街道は荒れ果て、商店が損壊し、至る所に崩れ落ちた建物の残骸が散乱しています。寒さの厳しい中、住民たちは恐怖に駆られ避難を余儀なくされました。
被災地の住民
「その時は寝ていましたが、揺れが酷く、一気に目が覚めました!」
映像の音声
「家々が全部倒壊しました」
ティンリ県はヒマラヤ山脈の北麓に位置し、総人口は6万人を超えるチベット自治区で最も人口の多い国境地帯の県です。
目撃者によると、震源地付近のいくつかの村は、ほとんどが土で造られた家屋で瞬時に倒壊し、多くの住民が逃げる間もなく被害に遭いました。現在、夜間の最低気温はマイナス10度以下にまで下がる中、多くの村では水道や電気が止まり、また道路が損傷しているため、多くの住民が孤立しており、早急な救援が求められています。
今回の地震の被害はティンリ県、 ディンジエ県、サキャ県、ラツ県などの地域に及んでいます。
ラツ県の被災者によると、同県は震源地ではないため、支援が軽視され、救援が届いていない状況だといいます。
ラツ県下拉蘇村の被災者
「政府の支援がまったくない村もあります。私たちの村には100世帯以上が住んでいますが、ほぼすべての家が倒壊し、住める状態ではありません。皆、屋外の空き地で生活しています」
中国共産党(中共)当局の発表によれば、8日正午時点で地震による死者は126人、負傷者は188人とされています。しかし、中共は真実のデータを隠蔽する傾向があるため、実際の死傷者数はさらに多い可能性があります。
チベット地震局の統計によると、1月9日午後3時時点で余震は合計1211回観測され、最大の余震はマグニチュード4.4、震源から約18キロメートル離れた地点で発生しました。被災者数は6万人を超えています。
一部の分析では、地震は自然災害であるものの、中共政権下では人災によって被害がさらに深刻化していると指摘されています。
中国社会民主党秘書長 劉因全氏
「中共は災害予防、特に地震防災対策が十分ではありません。また、日常の基礎建設において耐震性にあまり注意を払っておらず、多くの建物が耐震機能を持っていません」
チベット亡命議会のメンバーも、1月7日に中共が地震の背後にある人為的要因について責任を負うべきだと発言しました。
チベット亡命政権議会議員 ナムギャル・ドルカル・ラギャリ(Namgyal Dolkar Lhagyari)氏
「最も重要な原因の一つは採掘です。中共が進める大量の天然資源の採掘、特に石炭やリチウム鉱石の採掘量が増加しており、これが地震などの問題を引き起こしていることは明らかです」
余震が続いているため、多くの住民は夜を広場や路上に停めた車の中で過ごしています。
ティンリ県の被災者
「家が崩れたところもあり、車の中にはたくさんの高齢者や子供が寝ています。みんな寒さに震えています。」
ボランティアが7日深夜にティンリ県へ物資を届けようとしましたが、当局により町への進入を阻まれました。
ボランティア・暖暖さん(仮名)
「県庁所在地や周辺の郷では交通規制が行われており、中に入ることができませんでした。救急車もたくさん来ましたが、全て外に移動させられました。物資を運ぶ車も通れませんでした。特定の書類が必要と言われました。私たちも夜は路上で寝ましたが、ここは非常に寒く、氷点下6度でした」
ボランティア・多吉さん
「これは普通の災害ではありません。数千棟の家が倒壊し、一家族の中で一人しか生き残れなかったケースもあります。時に政府が物資の配布を許可しないことがあります。それが一番怖いことです」
被災者たちによると、民間の支援者たちが集めた救援物資が次々とティンリ県に届けられているものの、地元政府は支援者自身が被災者に直接物資を手渡すことを許さず、その結果、物資が過剰に滞留してしまいました。8日には政府が「これ以上物資を受け取らない」と発表しましたが、多くの被災者は物資を受け取れず、飢えと寒さに苦しんでいます。
恰布村の被災者
「協格爾鎮の恰布村は特にテントが不足しています。ここは深刻な被災地ではないとされていますが、家は住める 状態ではなく、今はすべて亀裂が入っています。現在、村全体でテントが2つしかなく、全員がそこで寝ることはできません。結局外で寝るしかなく、とても寒くて眠れません。食べ物はツァンパ(チベットの伝統的な食品)以外何もありません」
多くのチベットのネットインフルエンサーがこの状況を知り、災害地域に物資を届け支援しています。また、ライブ配信を通じて現地の状況を伝えようとしていますが、たびたび配信が封じられています。
ティンリ県 ネットインフルエンサー・卓瑪さん(仮名)
「その日、ただ無事を報告しようとしただけです。私は何も違法なことをしていません。普通なら配信できるはずですよね。でも、(当局は)私を拘束したり、呼び出して警告したりしました。私は従うしかなく、非常に気が滅入って、辛くて、心身ともに疲れています」
さらに、ネットインフルエンサーたちは、配信や短い動画を投稿する際、内容が災害の状況に触れていたり、チベット語で少し多く話したりすると、アカウントが封じられることを訴えています。