中共 珠海の衝突事故を報道規制 外国人記者の取材を妨害

中国広東省の珠海体育センターでの車両衝突事件が国際的な注目を集めています。目撃者によれば、現場では多くの死傷者が出ており、その惨状はテロ攻撃に匹敵するものでした。しかし、中国共産党(中共)当局は真相の隠蔽を続け、現地での献花による追悼も許可していません。また、現地取材を試みる外国人記者も妨害されている状況です。

11月11日午後7時48分頃、広東省珠海市香洲区の体育センターで、多目的スポーツ(SUV)車が敷地内に突入し、散歩や運動をしていた人々の群れに衝突しました。

ネット上に投稿された映像には、数十人もの人々が地面に倒れ、血まみれになって横たわり、悲鳴が響いている様子が映し出されています。

目撃者によると、当時はウォーキンググループが音楽を流しており、多くの人が車の音に気付かず、避けることができませんでした。衝突後、多くの人々が瀕死の状態となり、手足を失う重傷を負い、痛ましい光景が広がりました。実際の死傷者数は中共当局が発表した35人死亡、43人負傷をはるかに上回るといわれています。

事件当夜、中共当局は体育場を閉鎖し、翌日には現場を清掃しました。その映像では、地面が犠牲者と負傷者の血で赤く染まっている様子が確認できます。

珠海市民の鄭さん
「とにかく、あの時は本当に驚きで、受け入れがたい気持ちでした」

珠海市民の欧さん
「(普通)こんな極端な方法で人に報復することなんてありませんよね?」

珠海市民の冬さん
「まるでテロ攻撃のような感じで、とても衝撃を受けました」

ある情報筋によると、中国本土では、事故による死亡者数が35人を超えると、中共政府の官僚が責任を問われるため、ここ数年の多くの重大事件で死亡者数が常に35人と報告されているという驚くべき数の一致が見られるとのことです。

中国外交部 林健報道官
「中国は世界で最も安全で、犯罪率が最も低い国の一つです」

中共当局は外向けには「最も安全な国」と宣伝する一方で、事件に関する動画や情報を急遽ネット上で削除しました。これには病院で緊急治療を受ける様子なども含まれています。

珠海市民の鄭さん
「私は現場の近くに住んでいますが、当時、公式の発表はありませんでした。ただ、同僚がそう言っていただけです」

13日には、市民が体育館に集まり、犠牲者を悼むために花を手向けましたが、当局によってすぐに取り除かれました。現在、民間の人々は葬儀場に出向いて、自発的に追悼を行っています。

現場の警備員
「ここでの撮影はご遠慮ください」

現場にはBBCの記者が取材にかけつけたましたが、阻止され追い払われる際、言葉や身体的な衝突が発生しました。

取材を阻止する人物
「撮影するな、早く立ち去れ、早く!」

BBC記者
「ちょっと待って…」

取材を阻止する人物
「早く出て行け、早く行け!」

BBC記者
「そういうことしないで、こちらも警察に通報するから」

11月12日、地元公安局は今回の事件について、62歳の男・樊容疑者が離婚後の財産分割の結果に不満を抱き、犯行に及んだと発表しました。事情を知るネットユーザーによると、樊容疑者の自宅は体育場から遠くなく、前妻がよく体育場で運動していたとのことです。今回の事件は前妻への報復や、中国の裁判所の判決に対する不満を発散する目的で行われた可能性が高いと見られています。

 
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