シリアで政局が一夜にして激変しました。12月8日、首都ダマスカスが反政府武装勢力に占領され、アサド大統領は国外に逃亡し、世界中に衝撃が広がりました。アサド氏は中国共産党(中共)と密接な関係を持ち、杭州の霊隠寺を訪問したこともあるため、この事態は中国国内のネットユーザー間でも大きな話題となっています。多くの人が「このような日が中国にもすぐに訪れるだろう」とコメントしています。
反政府武装勢力の電光石火の攻勢により、12月8日、シリア政府は驚くべき形で、アサド一族による50年にわたる支配に終止符を打ちました。
SNSプラットフォーム「X」に投稿された多くの動画では、アサド政権が崩壊した後、反抗軍や民衆が大統領府に突入し、アサド政権の旗を焼き捨て、アサドの写真を引き裂き、独裁者の像を取り壊す様子が確認されています。
シリア各地では歓喜の雰囲気が広がり、多くの市民が一斉にスローガンを叫びながら独裁政権の打倒を祝福しています。人々は大統領府に押し寄せ、記念撮影を行い、一部の人には高級な家具や物品を持ち去る姿も見られました。
台湾国防安全研究院の研究員兼所長 沈明室氏
「今後のシリアは、これまでのような極権的、あるいは専制的な政権とは異なり、比較的民主的な新しい政権となる可能性があります。このような民主的な政権は当然、西側諸国の支援を必要とし、新たな民主主義の試みとなるでしょう」
アサド大統領が退陣した同日、世界各地のシリア人コミュニティの人々も街頭に繰り出し、この歴史的瞬間を祝いました。
沈明室氏
「アサドは独裁者であり、長年の独裁統治が反抗軍を生み出しました。ジャスミン革命の頃からアサド政権への反抗が始まりましたが、アサドはロシアや中国の支援を受けて政権を維持してきました。しかし、現在ロシアは重要な局面に直面しており、イランもアサド政権を支える能力を失っているため、その結果、政権の崩壊につながったのです」
12月9日、ロシア側は、シリアのアサド大統領とその家族がロシアの首都モスクワに到着したことを確認しました。
ロシア外務省はこれに先立ち、アサド氏が政権の平和的移行を命じ、大統領職を辞任してシリアを離れたとする声明を発表しました。ロシア当局は、アサド氏とその家族に対して庇護を提供しているとしています。
沈明室氏
「これは約30年以上ぶりに中東地域の情勢における大きな転換点となる出来事です。この重大な転換は、イランやロシアといったいわゆる『悪の枢軸』が中東で重要な拠点を失ったことを意味します」
台湾大学政治学系副教授 陳世民氏
「中共はイランやロシアの背後にいる非常に重要な支持者です。アサド政権の崩壊は、中共にとって中東における影響力が大きく低下する兆候だと言えるでしょう」
アサド大統領は中共の長年の友人でもあり、その急速な崩壊は中国のネットユーザーの間でも注目を集めました。
陳世民氏
「時間が経つにつれ、中国の一般市民もさまざまな方法を通じて、これらの世界情勢の変化を知るようになると信じています。この出来事が示す重要な意味は、このような人心を失った独裁的な統治は、最終的には人々に見放され、民衆が一致団結して抵抗し、このような独裁的で極権的な統治に反旗を翻すことになる、ということです」
昨年9月、アサド大統領とその夫人は杭州で開催されたアジア競技大会の開会式に出席しました。その期間中、杭州の霊隠寺を訪問し、最高レベルの接待を受けました。
当時、霊隠寺では正門前に長いレッドカーペットを敷き、さらに普段は開放しない正門を特別に開いて、この独裁者を迎え入れるという異例の対応を見せました。
陳世民氏
「中国(中共)はこれまでシリアのアサド政権と非常に緊密な関係を維持してきました。中国(中共)はアサド政権にミサイルを販売したこともあります。そのため、中共にとって今回の情勢の進展は歓迎すべきものではないでしょう」
現在、アサド政権が崩壊したことを受け、中国のネットユーザーの間では「杭州の霊隠寺が最大の敗者になりました。これで霊隠寺での願掛けは効果がないと誰もが思うでしょう」といったコメントが寄せられています。
一方で、「とても効果がありました。仏門は因果応報を最も重んじます。この結果こそが応報ではないでしょうか」という意見も見られました。
陳世民氏
「現在の習近平政権の統治は、中国国内で多くの不満を引き起こしており、ますます民心を失いつつあります。私個人としては、このように民心を得られない独裁的な統治である習近平政権は、いずれ中国の人々が覚醒した時に、打倒されると信じています」
また評論では、アサド政権の崩壊は、中共にさらなる不安と恐怖をもたらすと分析しています。