河北省で被災者がメディアの捏造に抗議

中国では近頃、洪水による甚大な被害が出ています。中国共産党(中共)が北京市と雄安新区を守るために河北省霸州市一帯で放水し、数万人が家を失う事態となりました。しかし、中共メディアのCCTVは、霸州市でいくつかの村で豪雨により洪水が発生したと報じました。多くの被災者が市政府に抗議に行き、警察と市民の衝突を招いています。

河北省霸州市の洪水干ばつ対策本部が7月31日にリリースした報告によると、今月1日2時に東淀洪水貯留区を開放することを「上層部が決定」し、霸州市の47の洪水貯留区に住む7万3205人が移動を余儀なくされたということです。8月2日早朝の放水により、霸州市では大規模な洪水が発生し、家屋が倒壊するなど甚大な被害に見舞われました。この洪水で数万人が家を失い、財産を奪われたといいます。

しかし、中共メディアCCTVは4日朝の報道で、河北省霸州市の一部の村が2日朝、豪雨の影響で0.4〜4メートル近くの洪水に見舞われ、多くの人が身動きがとれない状況になっていると報じました。

CCTVはまた、地元の消防隊がすぐに現場に駆けつけ、誰も取り残されないようにと、家屋や中庭、路地などに入り4つの村の住民を救出したと伝えました。

しかし、この捏造報道が人々の怒りに火をつけ、多くの住民らがインターネット上でCCTVの報道は捏造だとし、「これは豪雨ではなく、放水によるものだ」と暴露しました。

5日午前には、さらに多くの被災者が怒りを露わにし、市役所に抗議に行きました。

映像では、横断幕を掲げた村民が、「私の故郷を返して!洪水の原因は明らかに放水なのに、雨のせいだと言っている!」と抗議している様子が映っています。

しかし直後には、大量の黒服の武装をした男たちが、暴徒鎮圧用の盾を手に、抗議者たちに暴行を加えたことにより、両者は衝突に発展しました。

霸州市鎮漁津窪村の住民
「CCTVがWeiboで投稿したのは、実は消防士たちではまったくありません。救助に駆けつけたのは我々の民間組織で、(CCTVは)それを撮影していただけです。 政府は救助になど全く来ておらず、私たちの市民団体が救助に来たのです」

霸州鎮漁津窪村の住民によると、1996年の豪雨は今回よりも大きいものだったのに、被害はもっと小さかったといいます。今年は、政府が増水を調節する沼、白洋淀への水流を堰き止め、同村に水が押し寄せたことで、大規模な災害になったと話しています。

村民はまた、被災した自分たちは家を失い、ただでさえ悲惨な状況だったのに、CCTVのフェイクニュースによって、さらに精神的に傷つけられたと語ります。

漁津窪村の住民
「霸州市の漁津窪村には約2千人が住んでいましたが、現在すでに111戸の家屋が倒壊しました。水が家屋に入り込み、水位は窓枠くらいの高さにまで到達しています。ほとんどの住民は、引っ越したわけではなく、多くの物は家に残したままで、最低限の衣服だけを持って体だけ避難してきました」

多くの村民によると、政府は基本的に被災者のことなど気にかけておらず、自分たちで部屋を借りるか、友人や親戚に頼らざるを得なかったといいます。

米国在住の時事評論家 藍述氏
「中共のプロパガンダは常に、大きな重大な問題を、縮小して語り、同時に中共自身を美化するものです。本当のところは自分たちの放水が招いたことですが、豪雨によるものだと語っています。報道でも、地方政府の救援活動について報じるだけで、災害の程度や被災者が被った損失については報じません。そうしたことの結末は間違いなく、国民の反感を買うことになるでしょう」

市民の怒りは止まらぬ勢いだったため、霸州市政府は5日正午、「村民への書簡」を発表し、今回の災害が洪水貯水区域からの放水が原因であることを認め、災害補償をしっかり行うと声明を出しました。

しかし、地元の村民たちは、補償金が必ずしも自分たちに届くとは限らないと懸念しています。

漁津窪村の住民
「お昼の12時ごろに、政府は緊急にこのような通知を出し、国の補償制度にしたがって補償すると言いました。しかし、この補償が必ずしも私たち被災者の手に届くかどうかも問題です。これも今後、問題になってくることです」

村民によれば、自分たちの住居を洪水地帯にして水没させたのは政府であり、補償があって当然だといいます。霸州市政府は過去2年間、私たちからあれこれと料金を徴収し、金を巻き上げ、さらに企業に罰金を科したことも何度もニュースになっています。今回、私たち被災者が本当に補償を受けられるかどうかもわかりません。

 
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